2006 Summer Vacation Report in Alaska



  12日目 8/29(Tue) Denali NP (Stony Dome)

 昨晩は結構冷え込んだ。北からの高気圧が勢力を強めたのであろうか、周辺は霜が降り、キャンピングカーにもつららがかかっている。
 あまりに素晴らしいオーロラが見れたのと、今日はすがすがしい天気が予想されるので、日程を変更して、もう一日滞在できるようにキャンプホストに交渉してみると、この時期はキャンパーも限られているのであろう、無線連絡の末もう一泊の手続きを済ませる。さあ、今日はDenaliの見れる所まで上がろうか。
 Sable Pass周辺も、一気に赤色が増えてきたような気がする。毎日下から眺めている羊達も、元気にやているだろうか。
 少しずつ雲も晴れてきて、Denaliが顔をのぞかせてきた。しかしYはそんな事お構い無しに、お隣のおじちゃんと見た動物の数競争をしている。こちらは滞在も長いので、かなりの数の野生動物を見ているのだが、なかなか信じてもらえないようだ。
 Sable Passからの下りで、雄ムースを発見!
 Polychrome Overlooklまでやってくる。Denaliの眺めが素晴らしい。
 熊も冬眠前で最後の食料調達に余念が無い。そしてStony Hillに到着、ようやくDenali頂上をはっきりと拝むことが出来た。
 さて、今日のハイキングはやや気温も低めだが、熊に会う確立の低いStony Domeとする。 我々はFish Creekの右岸から登ってしまったが、正解は左岸だ。谷筋に入る際には、十分な声出しが必要となろう。そして沢の分岐で右岸に渡渉、水が冷たい。今年は雨が多いせいもあろうが、通常は簡単に渡渉可能であろう。渡渉後は、踏跡をたどって右の尾根に登っていく。沢沿いも詰めれるのだが、熊の事を考慮すると、見晴らしのいい尾根上を歩く方がいいだろう。
 途中からは左の沢に斜めに降り立つようにして、コルを目指す。振り返れば、Denaliの展望が素晴らしい。コルからは稜線を辿って、いったん左のコルへ下る。
 Stony Domeへは、左から回り込むようにして、Domeの西に伸びる尾根を目指す。周囲では、Picaが警戒音を発している。距離が縮まってくると、穴倉に潜り込んでしまう。
 Yを担いで尾根に出て、右のDome頂上を目指して登っていく。反対側には沢が切れ込んでおり、これを下山することは可能かな、などと考えながら、気温も低いのでYをがんばらせて頂上を目指す。非常に景色のいい所だ。みんなをバックに、記念撮影、、、(あれっ、Cの歩き方がぎこちない?)。

 我々は上ばかり見ていて気がつかなかったのであるが、何と右の沢100m前方にグリズリーベアがいるのであった。我々に知らせようにも、大きい声は駄目だということで、急いで登ってくる途中であったのだ。そうとも知らない我々はちんたら登っていると、あっという間に追いついて来た。

 『パパ、がいるよ!』、『こんな山の上に熊がいるわけないやん、、、』、数歩下って沢を覗き込むことしばし、やつは巨大なお尻を我々に突き出して、夢中で穴を掘っているのであった、、、。体長3m大(推定)、これが本当の生ベアだ。数日前にバスでグリズリーに最接近した我々であるが、一瞬でパーティー内に緊張感が走る。やつはどうやらこちらにも気がついているようだが、もっとおいしそうな獲物がいるのであろうか、我々には全く無関心に穴を掘り続けている。後に聞いた話だが、我々の先を歩いていたハイカーも、ほぼ同じ場所で熊に遭遇したそうだが、かなり長い間、恐らくPicaを食べようと穴を掘っていたことになる。
 頂上直下だったが、とっとと退散することにして、元来た方向に下山を開始する。Yもこの異常事態を察して、泣き叫ぶことも無く、しっかりとパパの背中でじっとしていてくれる。時折、笛を鳴らしながら雄大な自然の中、急ぎ足で下山していく。
 川を渡り、ようやく平坦地に出た。写真の一番高い山が頂上だが、その頂上直下の右の沢で熊に出会ったことになる。一同、緊張感もほぐれて一安心する。
 バスに乗り、Highway Passを下ると、熊がうようよ、でも我々の生ベアはもっと近かったな、、、。
 御土産用にベア看板をゲット、Glacierでグリズリーに会った時も怖かったが、あんまりハイキングコースでは会いたくない動物だ。一同、変な充実感でキャンプ場に帰還する。今日はかなりYをおんぶして斜面を上り下りしたので、疲労がたまっている。
 今日は天気も良くレンジャープログラムがあるので、皆で参加する。Lynxの生態について勉強することが出来た。
 いよいよ本当にDenali最後の日がやってきた。またしても河原に椅子を持ち出して、ゆっくりと白ワインを傾ける。
 巨大なムース(カリブー?)の足跡も発見、昨日はキャンプ場内をWolfが横切ったとも言っており、ここは野生の大地であることを痛感する。
 今日もオーロラ観測隊の出番だ。昨日見れなかったYにもしっかりと見せてやる。
 今日は昨日ほどではないのだが、明るく地平線上を彩っていた。ここアラスカでは、8月10日頃から白夜シーズンが終わりオーロラが観測できるようになるのだが、昼はハイキング、夜はオーロラ観測と、なかなか充実した(しんどい)毎日を過ごすことが出来る。


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