Weekend 2012 December(2)



 12/8(Sat) Table Rock Mountain, NC

 今年は故障もせずに、比較的調子の良かったランニングであった。10月のダブルもそれ程苦も無くこなせ、一本目二本目とも自己ベストを更新することが出来た。この年で新たなことに挑戦するには勇気がいるが、ならば新たな世界を覗くべく、以前からの目標であった『ウルトラマラソン』に挑戦してみることとなった。
 どういったレースにするかは、人それぞれだと思うが、私の場合はやはり山岳系の景色のいいものにあこがれてしまう。有名なものでは、2月にAshevilleで開かれる『Mount Mitchell Challenge』があるが、これはここ2年抽選にもれている。そして検索の中で浮かび上がったのが、地元North CarolinaのHickory近辺で行われる『Table Rock Ultramarathon』だ。
 湖から出発して、Linvilleまで駆け上がり、Linville Riverを渡り、Table Rockまで登った後、また湖まで降りてくるという、距離54mile (86.9km)、総高低差8,000feet (2,438m)というハードなものだ。更に制限時間12時間というハードルもつく。
 日本山岳耐久レースには出たことはあるのだが、アメリカでは、『は・じ・め・て・の』ウルトラマラソンになる。さあ、どんな地獄が待っているのやら、、、。

 まずは会場となるLake James State Parkへ。マイナーな場所であまり道標も無いので、しっかりと予習をしておいた方がいいだろう。ここでVAに住むHさんという日本人に会う。お互いウルトラへの参加は初めてとなるが、お互いがんばりましょう。
 レースは、50mileと50kmの混合で7時5分にスタートするので、当初はかなり荒れた雰囲気だ。その中で、だいたい同じペースの人を探していく。どうやら始めの2マイルでかなり突っ込んだ人がいたようだが、レースはまだまだ始まったばかりだ。アップもしていないので、私は軽いジョッギングでスタートする。今日の天気は、前半はガスから曇り時々晴れ、そして快晴となる予報だ。気温も65Fまで上昇するということで、手袋なし、温度に対応できるように、薄い肌着を上から着てスタートした。
 公園内の道路を1マイル進んだ後、50kmの人たちを左に分けて、右の砂利道(管理道、1mile)に入る。
 すぐに舗装路に戻って、NC126を少しだけ走ってそれと別れていく。その後4マイルの先まで舗装路は続く。
 みんなゆったりと走っており、落ち着いて走ることが出来る。ここでAS(Aid Station)1=4.1mileだ。ここまで37:38だ。
 後の1マイルの舗装路を走ると、本格的な登りが始まる。前方には巨大な壁が見えてくる。
 走れる登りかと思っていたら、道路も未舗装路になり全く不可能であった。
 ここからは平坦な部分は小走り、登りは一貫して歩いて登っていく。
 AS1からAS2が一番きつい登りがある所だ。
 展望も随分開けてきて気持ちがいい。ガスも晴れてきたようだ。
 AS2(8.7mile)まで来ると、走れる部分が増えてくる。この区間は48:09(1:25:47)だった。だいたい各AS間を45分で走れば、10時間30分で走ることが出来る。つまり、ここはややきつい所だ。
 集団もかなりばらけているのだが、同じような能力のものが集まっているのであろう。私の周囲には10人程度確認できる。
 その中で、始めに突っ込みすぎた人は落ちていき、じわりじわりと順位を上げていくこととなる。
 このオレンジの人は、後で抜かれるが、最後の平坦地で再び抜くこととなる。妙な連帯感が出てきて、『あっ、さっき挨拶したよな』って感じだ。
 木の間からは、Table Rockも望むことが出来るようになってきた。
 下ってからAS3(12mile)、その後もまた登りが始まる。この区間は、34:24(2:00:11)だった。
 そして、ひょっこり展望台へ続く三叉路に出る。ここまでに3人の50kmランナーに抜かれた。
 駐車場から更に遊歩道を走って、展望台に出る。
 『おいおい、あれがTable Rockかよ、、、It is far away!!』
 このAS4(14.7mile)でしっかりと栄養補給を行う。この区間は短いので、28:06(2:28:06)であった。この後すぐにHさんに会う。後半ばてる私なので、こりゃたぶん後で抜かれるだろうな。

 始めにきつい登りがあるが、ここから次のAid Stationまでは緩やかな下りだ。下りで突っ込んでいる人も数名見たが、膝を痛めたくないし、後半まだまだ登りもあるので、足を温存するように優しく下っていく。そしてAS5(19mile)だ。この区間は41:45(3:10:03)であった。ここからしばらく舗装路を上がっていく。
 レースを大体大きく分けると、ここまでが第一ステージ、Table Rock Summitまでが第二ステージ、ゴールまでが第三ステージとなる。ここまで目標の3時間半から4時間を上回る、3時間10分でこなしたことになる。

 ここから2マイルは交通量の多い道だ。牛なんかもいたりする。
 元気であれば、8分/mileで駆け上がれる緩やかな道であるが、前半の疲れもあるので、みんな無理をせずにゆっくりと登っている。
 ここでLinville Riverを渡る。この下流には滝があり、大きなゴルジュがあるのだ。
 Blue Ridgeからの道の下をくぐり、右のきつい坂を登っていく。ここから頂上までは、青シャツのランナー、2人組のランナーとほぼ併走する。
 オーバーペースもいけないが、逆に一人旅を続けた場合、走るべき坂でもしんどくて歩いてしまったりするので、ある程度集団で走るのもいいタイムを出すコツであろう。
 なるべく走りたいのであるが、このセクションはかなりの高度差があるので、無理は禁物だ。
 道も未舗装路になってくると、やや走りやすくなってくる。そしてAS6(23mile)だ。この区間は42:21(3:52:25)だった。
 ここから1マイルは交通量の多いNC181だ。そして最初の右折路を登っていく。ここの分岐を知らずに、遥か彼方までまっすぐ行ってしまった女性ランナー、大丈夫だろうか? このセクションはちょっとした登りがあったりで、歩きを交えて走っていく。おおむねまっすぐの舗装路だが、右に鋭角に曲がる分岐を覚えておかなければいけない。ここは未舗装路だ。
 ここで前半抜いた女性に抜かれる。かなり走力があるようで、追いつくことは無かった。この未舗装路を道なりに進むと、最後はちょっとの下りで三叉路に出る。立派な舗装路で、展望は素晴らしい。多くの別荘が乱立する。すぐに再び未舗装路になるが、ここからは30mileまでゆったりとした下りだ。
 膝に負担のかからないランニングを続ける。そしてここでAS7(27.5mile)、距離的に中間点だ。ここは48:36(4:41:01)で、ややペースが落ちてきた。しかし、まだ先には強烈な登りが待っている。そして30mileで右折して登りが始まる。
 頭上には威圧的にTable Rockが聳え立つ。ここからひたすら登りだ。
 いろいろなハイキングコースもあるので、また訪れてみようか。そしてAS8(32mile)だ。ここも49:12(5:30:13)と、スピードが落ちてくる。ここからは7つのスイッチバックを含む舗装路の登りだ。
 かなりの高度差があるので、展望も最高だ。みんなそれなりのランナーなので、ここまで来ると抜きつぬかれつということは無くなってくる。この登りの途中で、トップランナーとすれ違う。私の順位も10-15番程度であるようだ。

 これを登りきると、AS8(32mile)だ。ここには大きな駐車場がある。ここからはハイキング道を辿る。

 そして頂上へ。TR(34.5mile)。ここは42:59(6:13:13)、目標の14時前に到達することが出来た。ここからは、雄大な景色を望むことが出来る。これで第二ステージは終了だ。第二ステージも約3時間でこなすことが出来た。残りの第三ステージは早ければ3時間から4時間で行けると思うので、明るいうちに帰れそうだ。
 写真撮影もそこそこに下りに入る。ここで体調に異変が生じる。ATPが枯渇して、足に痙攣の予兆、立っているのもままならない状態になってきた。ここでHさんともすれ違うが、もうすぐ追いつかれるであろう。AS10(35.5mile)に戻って、5分以上へたり込んで栄養補給を行う。
 ちょっとましになってきたので、AS11(37mile)へのきつい下りをこなす。30:55(6:44:09)だ。みんな結構早く下っていくが、私には突っ走る足は残っていないようだ。ここでHさんに抜かれる。しばし会話しながら下るが、ここでSaltを頂く。すると、15分くらいして足がましになってきた。栄養補給も大切だが、電解質補給をどうするかが、今後の課題だな。AS11からは次のASまで下りだ。ここは昔の道でやや藪が多く、足元も不安定なため、あまりとばすことが出来ない。
 しかし暫しの下りで、林道に入る。ちょこちょこと出てくる登りは、歩いてこなす。
 振り返れば、あのTable Rockからこんなに下ってきたことになる。そして舗装路に出て、AS12(42.5mile)だ。このセクションは63:12(7:47:43)と、ややきつめである。さあ、あと残すところ12mileだ。
 残された力を計算しながら足を進めるが、所々に登りも見受けられ、かなり歩きも交えながらのランとなる。50分以上かかってAS13(46.5mile)へ。52:13(8:39:56)だった。このセクションが一番きつかった。そして湖の見えるポイントへ。さあ、ゴールも近づいてきた。Linvilel Riverを渡って、最終のAS14(49mile)へ。31:30(9:11:27)だ。かなりペースも落ちているが、明るいうちに戻れるので、気も楽だ。一部のランナーには反射ベストも渡されているようだが、私は通過タイムが早かったのであろう、無かった。

 AS14の後にも、強烈な坂が待っている。なるべく下りは走って、登りでも小走りも交えるようにする。10時間をちょっと意識していたのだが、その足は残っていないようだ。

 不安定な砂利道の管理道、曲がりくねる公園道をこなしてゴールへ。みんな暖かく応援してくれた。最後は62:28だった。
 タイムは10:13:54, 20位/49人であった。マイナス20分以内に8人いたので、後半しっかり走れていれば、順位はかなり上がったであろう。私より早かった女性ランナーは2人、やっぱり一人足りないので、コースを間違えた人はえらいことになったに違いない。

 残念ながらメダルは無し、Tシャツとパーカーをもらえた。パーカーをもらうことは初めてなので、これから重宝しそうだ。

 帰りはとっとと帰ろうとしたが、曲がりくねる道のためか、胃の調子が悪い。途中のガソリンスタンドでは、とうとう吐いてしまうが、その後は随分楽になった。帰ってからは、ICUの忘年会に行こうかとも思っていたが、食事を受け付けてくれる胃ではなさそうだ。体重も59.7kgにまで減少しており、湯船につかって疲れをとるとともに、鎮痛剤・水分だけを摂取するのであった。あまり無理はしなかったせいであろう、翌日起きてみると、心配された膝や足腰にダメージがあまり残っていなかった。これは取りも直さず、電解質の問題で、心臓・筋肉系にはあまり負荷がかかっていなかったということであろう。これなら、来週も走れるかな?

 今回は初めてのウルトラだったが、後半はかなり地獄を見た。暑い時のマラソンでもそうだが、途中での水分補給・電解質補給をもっと勉強していかなければいけないようだ。とりあえず新たな挑戦を、怪我も無くこなせて良かった。また新たな扉を開いたような気分だ。

 (追記)各個人のスプリットが発表になった。AS4までは、いいペース配分だったと思う。これ以上早く走れたが、ここで力を温存しながら登れたと思う。AS5までは、かなりおさえて下ったつもりだが、結果的にはまあまあいいペースだった。AS6までも歩きを交えながらゆっくり登ったつもりだったが、結構早いペースであったようだ。AS7まで、下りのスピードが出なかったセクションであったが、ここも結果的には早かったようだ。AS8、AS9までは、これ以上いいタイムを出そうと思ったら、急な坂道を走らなければならず、これ以上の記録は難しいであろう。
 頂上往復してAS10までは、足の調子が悪くなったので、これくらいか。みんな結構早く駆け下ったことがわかる。AS11までは、5分以上の休憩を挟んだのでしょうがなかった。AS12までの下りは、平均的なタイムであった。ここは調子が良ければ、5分は早く走れるであろう。AS13までのセクションが、かなり時間のかかったセクションだ。AS14まではちょっとがんばれたが、改善の余地あり。ゴールまでのセクションも、まただまだ改善の余地あり。
 こうやって他の人の走りなども参考にするに、10時間切りは可能ではあると思うが、9時間30分以内となってくると、これはまた別世界になりそうな感じだ。
 それから、このコースのルートファインディングも大切な要素だ。あの女の人はリタイヤで、青シャツの人は道に迷ってしまったようだ。


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