Weekend 2012 October(2)



 10/19(Fri)-21(Sun) Kansas City, Des Moines

 いよいよ秋も深まってきて、絶好のマラソンシーズンとなってきた。前回のOmaha, NEに続くマラソンであるが、またまたアメリカ中西部を攻めるべく、ミズーリ州(MO), アイオア州(IA)への参加とすることとした。実はこの"back-to-back"または"Double"は、数年前からの懸案であった。昨年も参加を考慮したのであるが、ちょうど同じ時期に開かれるNH-VTマラソンのダブルが出来る当たり年であったために、前回は不参加となったものであった。
 飛行機・レンタカー・ホテル・マラソンの予約を全て8月に済ませ、あとは体調を整えることに専念し、オマハの後はやや走行距離を落として準備して、いざCharlotteから出陣となる。飛行機からは、美しいNCの紅葉を眺めることが出来た。
 アメリカの主要な都市はだいたい訪れている私であるが、実はKansas Cityは通ったことも無い町である。簡単な復習をすると、この町はミズーリ州の西端の主要な都市である。東のセントルイスメトロ(290万人)に次ぐ大きさで、メトロポリタンエリアは210万人ともなる。この州は、このセントルイスとカンザスシティーの両都市に人口は集中しており、この他には大きなメトロ都市は無い、人口600万人の州である。

 北にはアイオア州、南にはアーカンソー州があり、西にはそのメトロポリタンエリアを共有するカンザス州(290万人)がある。カンザス州には大きな小児病院が無いので、実質ここの小児病院は、カンザスシティメトロポリタンエリア及びカンザス州をカバーするという、多くの症例を集める施設である。大リーグもアメリカンフットボールもある、Clevelandにも似た大きな町である。

 1803年のナポレオンからのルイジアナ割譲、1804-6年のLouis & Clarkの遠征の後、アメリカの西進政策はSt. Louisを基点に進んでいくこととなる。ミシシッピ川から分岐するミズーリ川をSt. Louisから遡り、ミズーリ川とカンザス川の合流点にあるのが、このKansas Cityだ。このカンザス川沿いに工業地帯が作成されるとともに、西部への3つのトレイル(サンタフェ、カリフォルニア、オレゴン、後に鉄道)、北西部(オマハ)への重要な中継地点となった。

 飛行場はまあまあのサイズながら、9.11テロ後にアップデートされていないために、待合室やレストランが手狭な感がする。レンタカーはOff terminalとなり、やや不便な印象だが、やたらと馬鹿でかいレンタカーセンターであった。ここでレンタカーをゲットして、ミズーリ川を渡ってダウンタウンに入る。
 ダウンタウンのShelatonに付随するコンベンションセンターで、まずはゼッケンをゲットする。
 再開発が綺麗になされており、Crown Centerというショッピング街もある。
 旅の情報を集める過程でお知り合いになったI家のみなさんと、夕食をKABUKIという店でとる。今日はカーボローディングに徹しなければいけないのだが、いろいろと興味をそそるメニューもあった。オーナーは日本人の方で、日本語が通じるので助かる。Iさんからは、明日の観光情報などを頂く。どうもありがとうございました。ホテルは郊外の安いモーテル6($57.10)へ。
 朝食は、昨日KABUKIで作ってもらったおにぎりだ。やっぱりマラソンには、腹持ちのいい米に限る。
 4時30分起床、6時前に会場に向かうと、周辺は凄い渋滞となっていた。前の車について行くままに、Children's Hospital前の空き地に駐車して、会場に向かう。外はやや肌寒いので、Crown Center内でアップすると良いだろう。
  スタートは7時5分と早いのだが、暗闇の中、会場は多くの人であふれている。お決まりの国歌斉唱の後、スタート!
 レースは、ハーフマラソンとの合同スタートなので、スタート直後はやや荒れた雰囲気だ。ダウンタウンに向けて北上していくのだが、緩やかに登っているので、抑え気味に入ることにする。11th streetまで行った後、南下を開始する。入りの2マイルは15:28 (7:44)だ。
 徐々に明るくなってきた。Union Stationの前を通った後、強烈な上り坂が始まる。前半はおさえたいので、ゆっくりとしたペースで登っていく。
 World War I Museumの塔が見えれば、3マイルだ。この1マイルは、8:10というスローペースだ。ここからの眺めは最高であった。ここから4マイルまでの間も、きついアップダウンがある。4マイルは7:46、徐々に集団も落ち着いてきた。私自身も調子をつかみかねていたが、だいたい前回のオマハマラソンくらいのペース(7:30)で行けそうな感じだ。
 6マイルが14:30 (7:15)、ここから3:15のペーシンググループと併走することとする。7マイルまでは緩やかな下りのため、7:05だ。この辺りは、Country Club Plazaというスペイン風の建築物が多いショッピング街だ。Nelson Atkins Museumの前を通過して、8マイル地点で橋を渡る。
 ここでハーフの集団を分けるので、ここからはかなり落ち着いた雰囲気で走ることが出来る。川沿いの道を走って、9マイルが14:25 (7:12)、やや速いペースだが、体は快調だ。その後、2回の橋を渡って、10マイルが7:23、11マイルが7:19、いいペースでランニングを続ける。しかし、11マイル先から強烈な登りだ。あまり無理はしたくなかったので、ここからはペーシンググループとは別れて、自分のペースを守ることにする。

 12マイルが7:29、もうちょっと落とさねば、後半苦しいいぞ、ということで、13マイルは7:38。この辺りは、いいお屋敷が続く。この町に引越しすることがあれば、いい場所かもしれない。Ward Parkwayまで来れば、フラットコースだ。14マイルが7:29、15マイルも7:29という、理想的なイーブンペースで距離を稼ぐ。16マイルで少々のアップダウンがあるが、これも7:35でこなす。ここから非常に緩やかな下りだ。舗装工事の影響でやや走りにくかったが、17マイル7:27、18マイル7:27、19マイル7:31と、完璧なペースランニングに徹する。気持ち的にも(私が半分走ったと意識する18マイルを超えたので)、随分楽になってくる。

 20マイルから、気温の上昇と直射日光を浴びるようになってきて、ややペースダウンだ(7:42)。そして、ここからがこのコースの核心である緩やかな登りだ。21マイルは8:03、23マイルが16:33 (8:16)、24マイルは8:32だ。後半の登りということで、足に痙攣でもきたのだろうか、Sワードを連発するランナー達を抜いていくが、殆ど抜かれることは無い。25マイルへは下りをこなして7:55だ。

 最後はやや登りになるので、やや足にこたえるが、しっかりとペースを上げていく。
 26マイルが8:03だったが、しかし明日のこともあるので、明日に疲れを残さない走りに徹する。
 最後はやや鞭を入れて1:44でゴールする。
 両脇には、結構な人数が観戦に来ていた。
 あまり混雑する前に、ゴールすることが出来た。
 3:20:48、75位/1462人であった。前半後半の差が少ないので、あまり抜かれることも無かった。メダルはかなり大きなしっかりしたものであった。Tシャツも速乾性のいいものであった。

 このコースはおおむねフラットだが、前半と中間に登りがあるとともに、後半20マイル過ぎに登りがある点が難しかった。

 レースの後は、ちゃっちゃと車を回収して、観光モードに入ることにする。まずはマラソンでも通過したNational World War I Museumだ。戦争がヨーロッパで主に行われた、アメリカの参戦は最後の2年間であったなどの理由で、World War IIに関しての博物館が多いアメリカにおいて、この博物館は貴重なものだ。

 ちなみにこのシビ男ちゃんは殆ど新車だったが、燃費はあまり芳しくなかった。何とか32mile/galonいったが、うちのシビ子は47mile/galonいくんだから、そりゃアメ車は売れへんわ。

 このLiberty Memorialは、1921年完成のもので、頂上からは湯気が出るという設計だ。まずは入場料($14)を払って、内部へ入る。最初に、入り口でビデオを見るのがいいだろう。
 内部では、その当時の複雑な世界情勢を学ぶことが出来る。
 いろいろな国の軍服が展示されている。日本のもあったりする。
 ロシア、ドイツ、フランスの犠牲が多かったことがわかる。
 その当時のマシンガンや、手榴弾も展示さされている。
 飛行機と潜水艦の時代の幕開けでもあった。
 そして、1917年からのアメリカ参戦からを詳しく展示していた。
 次にタワーに行ってみることにする。古びたエレベーターは、7人しか乗ることが出来ない。
 更に階段を登れば頂上だ。
 南、東、北、西を望む。町の概要をつかむ上でも、訪れるといいだろう。
 次にUnion Stationへ。
 大きな大理石建築である。
 Kansas Cityの玄関口にふさわしい、素晴らしい建築だ。ただ、鉄道としての利用はAmtrackのみで、市内には地下鉄を含めて鉄道路線は存在しない。これらが整備されれば、もっと住み易い町になることであろう。
 次に、お勧めのKansas BBQということで、W47th, County Line RD, KSにある、Oklahoma Joe'sへ。しかし、物凄い行列に恐れをなして敗退する。また機会があれば訪れてみたい。
 次にOld CityにあるCity Marketへ。Clevelandにも似たマーケットだが、何故か肉屋と魚屋は無かった。屋外のものが多いため、冬はどうなるのであろうか、、、。
 まあまあの人ごみであった。野菜も、安いものが入荷しているようであった。
 お腹も減ってきたので、昼食をベトナム料理とする。前菜の春巻きの後、ラーメンへ、あっ、写真取るの忘れちゃった。
 次にSteamboat Alabamaへ。その昔、セントルイスからカンザスシティの間のミズーリ川沿いには、多くの汽船が通っていたのだが、実は流れが複雑で難所が多かったのだ。この両都市の間で、多くの船が沈没したことで知られている。
 沈没した船が、ずっと川の底にあるかというと、否で、長い年月の間の川の侵食と堆積の間に川筋が変化して、それらが地中深く埋められていることからこの話は始まる。
 このアラバマという1856年に流木によって沈没した171フィートの船を、有志によって1988年に発掘・展示したことに由来する。

 一時間に一回のツアー形式の入場だが($14.50)、発掘にいたる苦労話などを、いろいろと聞くことが出来る。

 もともとこの博物館のあった所は、野菜の貯蔵庫だったというのだが、ここで発掘品の洗浄などを行い、展示にこぎつけたそうだ。今でも洗浄作業が行われているものもあるという。
 1856年当時の物流を示す、興味深い品々がいくつも展示されている。
 西部開拓に必要な工具なども盛りだくさんだ。
 皿やのこぎり、
 工具類や香辛料、
 生活必需品が盛りだくさんだ。ピクルスなどもあり、一応食べることが出来たそうだ。
 奥地への物流は、冬が訪れる前に行わなければならず、冬を越すためのブーツやコートなども多かった。
 これだけ多くのものが、いい保存状態で発見されたのは、非常に驚きだ。
 説明を受けていると、その当時の発掘の主要メンバーも登場し、なかなか面白い裏話なども聞けて面白かった。当初は、『時間も無いのにツアー?』、などと思っていたが、$14.50を払っても価値のある博物館であった。
 最近はスプーンを購入することも無かったが、アメリカ中西部に空白があるのはわかっていたので、折角なのでスプーンも購入する。

 さあ、もう時刻も16時を回ってしまった。Kansas Cityの観光はこれくらいにして、明日のレースのゼッケンを取りに行くために、ハンドルを北に向ける。

 向かう先は、Iowa州の州都があるdes Moinesだ。豊かな土壌のアイオアの大地をひた走るのであった。

 暗くなる頃に、3時間強のドライブを終えて、デモイン(des Moines)のダウンタウンのEXPO会場へ到着する。無料のパスタディナーがあったので、ちゃっかりと頂く。時間も遅くなっていたので、助かる。

 ここで、アイオア州の簡単なおさらいを。北のミネソタ州、北東のウィスコンシン州、南東のイリノイ州、南にはミズーリ州、西のネブラスカ州、北西のサウスダコタ州と接している。人口は306万人で、州都はこのデモインだ。もともとはインディアンに対する砦だったものだが、ここに石炭が発見されてから発展した町だ。石炭が枯渇した後も、州都としての役割を担うことになる。州全体が肥沃な土壌を有し、アメリカ有数の穀倉地帯である。
 Omahaと似たような雰囲気の町で、川には観光用の橋が架かっていた。ホテルは、10分程度西へ走った所にあるDays Inn($56.40)へ。
 今日のレースは8時スタートなので、余裕を持って用意する。足の調子はまあまあで、軽い筋肉痛があるのみだ。
 また国歌斉唱の後、スタートとなる。
 ひんやりとした朝の冷気が気持ちがいいので、入りの1マイルは7:35で入ってしまう。どうどう、ペースをおさえなければ、今日は地獄を見るぞ。
 議事堂前まで東に行った後、西を目指す。
 今日は昨日と違って、うす曇も無いので、暑さが問題となりそうだ。川を再び渡って、ダウンタウンへ。応援が心地よい。2マイルは7:39だ。
 2マイル過ぎから、登りが始まる。早々にハーフのランナーを分けるので、場も落ち着いた感じだ。3マイルは7:48、4マイルで登りは終わるのだが、今度はダウンヒルありで、結構苦しめられる。5マイルが15:33 (7:46)、6マイルが7:44、7マイルが7:51、8マイルが8:03だ。コースマップの高低表には、あまりアップダウンの記述が無いのだが、足に負担のかかるアップダウンが8マイルまで続く。

 さて目標タイムであるが、もともとは4時間以内が最初の目標であった。次の目標が、一本目から30分以内、つまりだいたい3時間45分から50分くらいを目指していくこととする。
 ここからは随分フラットになるので、落ち着いて走りやすい。9マイル7:42、10マイル7:45、11マイル7:56、12マイル7:57と、ほぼイーブンペースを保つ。足のほうは、登りの付加には耐え難いが、そこそこのペースでがんばってくれる。ちょうど3:30のペーシングチームと波長が合うようだ。
 面白いコース設定が、12マイルはDrake Universityのトラックだ。ここでおもむろにトラックを一周する。
 ここからは折り返しだ。13マイル8:15、14マイル8:03、15マイル7:20(?)、16マイル8:04とイーブンを保つが、併走していた3:30のペースランナーとは、ここでバイバイされる。気温も上昇し、日陰も少なくなってきたので、イーブンペースを保つのが苦しくなってくるが、後は10マイルを残すのみだ。
 17マイルへはゆったりとした遊歩道の下りだが、急に足に力が無くなってきた。栄養補給を試みるのだが、胃が受け付けてくれない。吐き気も催してきたので、ゆっくりとしたペースに移行する。

 18マイルは9:12で、Racoon Riverを渡る。かなり抜かれることが多くなってきた。ここからは完全にフラットになるのだが、足が言う事をきかない。太陽の照りつけも相当なものだ。19マイルは9:34で、とうとう歩きが入る。しかし、歩いても小走りでもしんどさは変わらないので、出来るだけ歩を進めることにする。
 20マイルが9:43、ボランティアの方のオレンジの配給で力をもらう。21マイルは9:45、22マイルは9:48で、何とか10分以下をキープする。

 22マイルからは湖の周回コースだ。ごまかしながら走って、23マイルが9:57、24マイルがとうとう10:16だ。ダウンタウンも近くに見えてくる。一歩一歩がしんどいのだが、この楽しかった52マイルのゲームも、とうとう残り数マイルになってしまったことに、何だか感傷的な気持ちになりながら、足を進める。
 橋を渡って25マイル地点へ、10:55、周囲には嗚咽を交えたり、歩いている人が増えてくるが、自分も一杯一杯だ。本来ならば、残り1マイルくらいであれば、かなり突っ込めるのだが、吐きそうな気分もあり、突っ込めない。26マイルが10:40、何と残り0.2マイルが走れずに、ここでまた歩きが入ってしまうが、10秒歩いて再び走り出す。そう、このGreat Journeyもフィナーレがやってきたのだ。

 多くの歓声に押されながら、最後はガッツポーズでゴールラインを超える。"Yes, I did it!!"

 3:46:14、373位/1579人であった。メダルは小ぶりながら、綺麗なデザインであった。ロングシャツは速乾性のものであった。

 コースはやや前半のアップダウンが意外であった。しかし8マイルから後は、おおむねフラットだ。スタート時間が遅いので、いい記録を出そうとするときにこれがやや
ネックになりそうだ。

 さあ、ゲームオーバーだ。お昼を過ぎてまだアイオア州にいるが、今日中にこの楽しかった夢のような世界から、現実の世界に帰らなければいけない。しんどい足を引きずりながら再び車に乗って、カンザスシティーに向けてアクセルを踏む。
 3時間強の運転でレンタカーを返却し、空港のレストランで、反省会を行うのであった。これでMO, IAは終了したが、まだ走っていないKansasでのマラソン大会へのアクセスには、この町からが便利なので、たぶん再び訪れることになるであろう。その時には、たらふくお肉を食べてみたいものだ。
 日程上も、地理的にも、なかなかダブルマラソンのチャンスは少ないのだが、今回は自分の能力をかなり把握・コントロールすることが出来、楽しいダブルマラソン旅行となった。最近レースが立て込んでいるが、これ一本というレース日程で、万全の体調と天候が期待できれば、3時間15分切りもまた見えてきた感じだ。しっかりとトラックトレーニングを取り入れていきたい。50州制覇まで、もう残すところあと22州となってしまったが、怪我だけはしないようにして、またこういった旅を企画していきたい。


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