Running (2007.12)


月日
曜日
距離
内容
タイム
コメント
12/1
       #112 CAD,OMI,Ischemic MR, CABGx4(LITA-LAD,SVG-RCA,Cx,D1)+MAP(26ring)、これまたEFの低いどろどろの症例、土曜日にしたくない手術だ。夜も頻繁に呼ばれて消耗する。これくらいで消耗するようでは、日本ではもう働けないかもしれない。
12/2
       天気も悪く、アウトドア活動は無し。
12/3
     

 #113 CAD, CABGx4(LITA-LAD,SVG-RCA,OM,small D1)、LITA吻合にtremorは無いのだが、持針器に遊ばれている感じ。手に入れたTitan持針器で、7-0,8-0の針回しの練習をすること。

 小学生時代からお世話になっていた伯父さん(外科医)が亡くなられた。伯父さんは、私も一時進学を考えた大学の出身であったとともに、アメリカ留学をして多くのことを学び日本にfeedbackしたということで、今までに多くの刺激を頂いた。同じDNAを共有する身として、そして一外科医として、こちらで得られた財産を今後日本に還元していきたいと思う。心より冥福をお祈りしたい。

12/4
     

Chimpanzee vs. Human 手術中にも最近盛り上がっていた、日本→アメリカの話題から。まずは以下のVideoを見て頂きたい。

http://www.youtube.com/watch?v=nTgeLEWr614
http://www.youtube.com/watch?v=xKE8wCN5ocs
http://www.youtube.com/watch?v=xrIhdbrwyHA

 これ程までにShort memoryが人間よりも優れているということは、意外であった。教育(慣れ)というものが大切であることを示すとともに、人間が過去に忘れてしまった『動物的視覚』がここにはあるように思われた。"Chimpanzee memory"で検索すると、多くのビデオがひっかかるので、ご覧下さいませ。

 #114 CAD,OMI,s/p F-P bypass, CABGx3(LITA-LAD,RA-RCA,SVG-Cx)、両足のSVG・Lt.hand skin flapが使用されている症例で(BTW, we called him as "No vein guy.")、何とか断端のSVGを発掘する。更に、rt.radialを取って、LIMA take down。320lbのおっきな症例だった。 今日のLITA吻合は、深くてやりにくかったが、きれいに縫えた。
 自分でやることが多くなって、手術での疲労が蓄積するようになってきた今日この頃だが、最近はClevelandも雪が積もることが多くなってきた。
行き帰りの道の運転には気をつけたいと思う。

12/5

      再開発の一例 高校時代の地理の知識でも、"Cleveland = 鉄鋼"と習っていたが、それはもう一昔前の話になっている。鉄鋼で有名だったOhio, Youngstownが同じであったように、ここClevelandの工業は現在も落ち目であるし、今でも工場閉鎖の話は多く持ち上がっている。全米でmost poverty cityにランクされるのもうなずける話ではある。

 さて、都市のドーナツ化が起こっているこの街であるが、その広大な鉄鋼所跡地を利用しての再開発が、現在勤務している病院の隣で行われている。ちょっと上品さは感じられないが、立地条件が素晴らしいだけに、今後面白いショッピングセンターになっていくのかもしれない。(うちの病院の立地が、写真で確認できます。)
http://www.steelyardcommons.com/main.asp
http://www.steelyardcommons.com/aerial_photos.asp


 今日は手術無し、退院・術後管理やらconsultation業務を粛々とこなす。今日も走る時間が無し、近所で買い物をする。
12/6
       #115 CAD, CABGx4(LITA-LAD,SVG-RCA,Cx,D1)、8-0の練習をしなければと思っていた矢先にLITA吻合がおりてきた。7-0よりも針は回しやすいし、リリースもしやすい、針穴からの出血も少ない。糸を選ぶというよりも、針の選択をすべきだと実感する。BV-1よりもBV130-5,BV175の針の方が手になじむような気がする。
12/7
     

それでも医者か! こんな国で医療は出来るか、誰がこんな医療システムにしたんだ、お前に言われる筋合いはないやろ、、、いろいろな意見はあるだろうが、先日の姫路の『たらい回し』の件に関するこの題の付け方は、世間(特にマスコミ)の現状認識の程度の低さを再認識させるものである。大淀病院事件に対する『恥を知れ』報道(#1)に続く、永遠に語り継がれるコメントとなるであろう。
 産婦人科から始まった崩壊の序曲は、予想通り救急へと進んでいったと言えるであろう。

http://www.daily.co.jp/gossip/2007/12/07/0000762648.shtml

それでも医者か!救急搬送66歳男性死亡
 兵庫県姫路市の自宅で吐血した男性(66)が急患として搬送される際、近隣の18病院が受け入れを断っていたことが6日、分かった。男性は救急車内で心肺停止し、119番通報から約2時間後、自宅から約30キロ先の赤穂市民病院(同県赤穂市)で死亡が確認された。

 
赤穂市民病院は搬送遅れと死の因果関係を「分からない」と説明。死因も明らかにしなかった。

 
搬送した姫路市消防局は「手術が必要な深夜の救急搬送でこれほど時間を要したケースは記憶にない」と話している。

 
姫路市消防局などによると、6日午前零時7分に「意識がぼんやりしていて、吐血した」と男性の家族から119番。3分後に救急隊が到着、搬送先を探したが、姫路赤十字病院や国立病院機構姫路医療センター(いずれも姫路市)など18病院が「専門医がいない」「別の手術中で手が離せない」などとして断ったという。

#1 http://blog.nikkansports.com/nikkansports/writer/archives/2006/10/post_565.html

 医療問題に対する辛口なコメントで知られているSSDさんですが、以下のコメントは激しく同意してしまいます。

http://ssd.dyndns.info/Diary/2007/12/post_438.html

医師不足・医師不足といいますが、本当でしょうか。三次救急救命施設には、実は、医者がいます。こいつらは、戦争大好きな連中です。本当に不謹慎な奴らです。多発外傷なんて来ようものなら、目を輝かせて、「祭りだワショーイ」とばかりに、処置に、手術に、術後管理に勤しみます。

かたや、ニセモノの救急病院の医者はどうでしょう。歴戦のベテラン艦爆乗りを25番を針金で固定した旧式機に乗せて、「オイ、貴様、あの機動艦隊の空母を何とかしろ」とか言われて、ゲンナリ。戦意が上がるわけ無いだろ。

ホンモノの戦場を求めている医者は常にいます。自分の技倆が、最大の効果を発揮して、戦果を挙げることこそ、男子の本懐(あ、女医さんごめんね言葉のあや)。問題は、そうした適切な戦場と、兵器を与えない政治の次元です。

 #116 CAD,s/p CABGx3(LITA&SVC occ), redo-CABGx2(SVG-PD,LAD)。いろいろなものをインプットすることが出来た。

12/8
       これで4週連続の土曜日緊急となる。#117 CAD,UAP,OMI,IABP, CABGx4(LITA-LAD,SVG-PD,Cx,OM)、今日はcoronary切開講座だった。LADはStentx2の末梢で、今日も8-0で縫合する。練習の甲斐あってか、持針器が手に馴染んできたせいか、手早く縫えるようになった。やはり手に一番馴染んだカストロが、ラチェットをはずすタイミングが一番簡単であるように思う。一部ラチェットのリリースに問題があるものが紛れ込んでおり、もうマイ持針器を持ち込んだ方がいいように思う。

 Cの論文がJTCVSにアクセプトされた(パチパチパチ)。私もがんばって書かなければいけないのだが、かなり体力的にも精神的にもぎりぎり一杯という感じだ。
12/9
       今日もまたIABP抜きやら。4週連続で土曜日に手術があるということは、4週連続で日曜日に術後すぐの患者を見ていることになる。土日が無いから疲れが溜まるのか、と何だか納得させられてしまった。土曜日も学校があった昔、土曜日も働いていた個人病院勤務時代が懐かしい。
12/10
     

 #118 CAD,s/p CABG twice(LITA-Cx,RITA-LAD,SVG-RCA), re-re-CABG(SVG-D1,LAD)、癒着も大したことは無く、この手術は自分でも出来ると思った。大人の場合は、回したらしまいというのもあり、回す時間を最小限にしたい子供とは、あまり比較にはならないように思う。やはり乳児の再手術が最強か(特にMAPCAがらみの肺動脈の剥離)? #119 AAA, H28 replacement、これはDr.Sから多くを学んだ手術だ。私のsuggestionに対しても耳を傾けるDr.Gは、人間的にも素晴らしいと思う。

12/11
       #120 AS,CAD, AVR(CE23),CABGx3(LITA-LAD,SVG-OM,D1)。日本にいた時と同じように、休暇を目標にがんばるようになってきた。あと11日。
12/12
8.0
Jog
 

Glacier in Greenland 今日の新聞のニュースから、昨今の地球温暖化で、Greenlandでは記録的雪解けを記録しているそうだ。

詳細は、以下のサイトが詳しい。ここのリンクのVideo, slide showを見るのもいいだろう。
http://www.msnbc.msn.com/id/22200767/

また実際にGoogle Earthで現地を確認してみても、その氷河地形の後退のスピードが確認出来るであろう。

 午前中にジムで汗を流して、午後から#121 CAD, CABGx3(LITA-LAD,SVC-PD,Cx)。

12/13
       #122 d-Aortic rupture, Replacement of the d-Ao(H-20)。手術のイメージは全く問題なし、しかし一つ一つの手術道具の大切さを痛感させられる、外科医として痛恨の手術となった。
12/14
       #123 MS,Af, MVR(SJ25),Maze、今日はDr.Aということで、Maze,MVRが下りてきた。その後、#124 CAD(LAD proximal), OPCABGx1(LITA-LAD)。
12/15
       久しぶりに、手術の無い土曜日を過ごす。回診の後、家に帰って昼寝。外は雨模様で走る気力無し。
12/16
       回診、午後から、テレビでBrowns(地元のアメリカンフットボールチーム)のゲーム観戦をする。ものすごいブリザードの中での、白熱した試合であった。これでプレーオフに更に一歩近づいた。
12/17
       #125 AS,CAD, AVR(CE25),CABGx2(SVG-LAD,D1)、#126 CAD, CABGx5(LITA-LAD,SVG-PD,PD-seq,Cx,D1)。クリスマス前で、緊急が増えてきた。
12/18
       #127 Af, Mini-Maze。
12/19
       #128 CAD, CABGx5(LITA-LAD,SVG-PD,RCA-Seq,OM,D1)、#129 CAD, CABGx6(LITA-LAD,RITA-RCA,SVG-PD,Cx,D2,D1-seq)、#130 CAD, CABGx3(LITA-LAD,SVG-PD,Cx)。一日で4本のIMA take down、CABGx14はmy record。
 アメリカでの臨床は、手のトレーニングが主目的であるのだが、これだけ症例にさらされるのは幸せなのであろう。確かに疲れるのだが、日本にいた時の疲れ方とは少し異なるように思う。
12/20
7.0
Jog
   #131 CAD, CABGx4(LITA-LAD,SVG-RCA,Cx,D1)。今日は明るいうちに帰って、近所でラン。走る時間があるような適度な忙しさが、健康にはいいのかもしれない。
12/21
       #132 Marfan,AAE,CAD, Bentall(SJ25),CABGx1(SVG-PD)、#133 CAD, CABGx4(LITA-LAD,f-RITA-Cx,SVG-RCA,small PD)。
12/22
       #134 抜管後の出血で再開胸止血術、昨日は一例目のために、LIMA take downはDr.Aだったし、胸閉めもDr.Aだったので、これは主犯ではなくて共犯というところか。今日も一例目が終わってから二例目、#135 CAD, CABGx5(LITA-LAD,SVG-D1,PD,RCA-seq,Cx)。
 今日の夕方からオフだったのだが、手術が立て込んでしまい、出発が遅れる。20:30にようやく出発となる。昨晩もあまり寝れなかったし、どんな旅になるやら、、、。
12/23
6.0
Jog
   NOへ。
12/24
6.0
Jog
   NO観光。
12/25
       ドライブ。
12/26
       海岸沿いを観光。
12/27
       Clevelandへ帰還。
12/28
       仕事、といってもボスはいないし、手術も無いので、事務ワークに明け暮れる。
12/29
       ゆっくり過ごす。
12/30
       ゆっくり過ごす。
12/31
       今日も手術は無し。Aggressiveなボスがいないと、手術が滞りだす。
 
 
27.0
   

 今月は24例となり、76例/3monthというペースだった。後半は殆どの末梢吻合を任されるようになったが、技術的には困難さを感じることはなく、逆にボスがいない場所でも同じ事が出来る様なメンタルトレーニングが必要なことを痛感する。Jateneなどの前立ちよりも、研修医の先生とする未熟児PDA, PA bandingの方が、よっぽど緊張したのと同じことであろう。ただし、そういったチャンスが日本で見出せるかというと、そう簡単な事では無いのが実情だ。

 アメリカでの研究生活にピリオドを打ち、とうとう臨床の場に戻ってきた。当初は『この経験を日本に』、という志があったが、医療コスト世界最大の国と、医療コスト世界最低の国では、目指すべき医療のスタイルが根本的に異なるように思えてならない。外科医としての私の人生もそう長くは無いのだが、今後の日本の医療に貢献できる何かしらの道を模索していきたいと思う。

1、Surgery 手の運動、教科書、会話、いいトレーニングが出来ていると思う。

2、学術活動 もっとJournalをコンスタントに読むこと。Internet accessが少なかったMetroでの研修だったが、CCFではまた簡単にアクセスが出来ることだろう。書くほうは、かなりいけてないが、自分なりにはその事にはかなり納得している。

3、Running 比較的運動の出来た3ヶ月であったが、コンスタントに運動をしていく時間を探していきたいものだ。

4、Private 両親の仕事でのストレスが増すとともに、Yもストレスを感じているように思う。学校の休みに合わせて、出来るだけ時間をとってやろうと思う。

5、日本の医療 あまりいいニュースの無い一年であった。やはり右肩下がりは不変か。



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