1995年 冬山 岳沢 計画書



1995 Winter ice climbing plan in Mibu river, Dake valley

山域:南アルプス仙丈岳三峰川岳沢

メンバー:P.L. YO(27)  HK(27)

行程:
12.27 (Wed) 神戸=(福井numberのSILVIA)=伊那北=丸山谷出合

  28 (Thu) 丸山谷出合−岳沢越−岳沢−二俣BP

  29 (Fri) BP−仙丈岳−北沢峠−丹渓山荘BP

  30 (Sat) BP−戸台

・Sub 0 最終下山連絡時間 20:00 ・天候不順の場合戸台にてアイスクライミング

団体装備:ツエルト(1) ポール(1) EPI(2) EPIカートリッジ(2) コッヘル(1)  ローソク(1) 天気図 ラジオ トランシーバー(144MHz,1) 食料2日分 9mm50m(2) ビナシュ(10,5) アイスハーケン(7) ロックハーケン(4)

個人装備:ザック シュラフ マット 雨具 防寒具 ヘッドランプ 予備電池 非常食 救急セット 地図 コンパス ナイフ ヘルメット ハーネス



1995年 冬山 岳沢 報告書



1995 Winter ice climbing plan in Mibu river , Dake valley

山域:南アルプス仙丈岳三峰川岳沢

メンバー:P.L. YO(27)  HK(27)

行程:
12.27 (Wed) 神戸=(福井numberのSILVIA)=伊那北=丸山谷出合
  西日本を襲った大寒波の名残で、名古屋に出るのに2日かかるとの噂もちらほら、最悪の場合対象変更も考えながら、深夜に神戸を後にした。名神高速道路は100km以上の渋滞のため名阪自動車道を走る。この辺りにしては大雪の中、特に渋滞もなく名古屋に到着、中央道を突っ走り伊那にて高速をおりる。武田信玄ゆかりの高遠町に向かい、そこから最後に三峰川沿いに走り、chainを装着、丸山谷出合いにたどり着く。なんとここでaccident、chainが切れる。帰りの不安を胸に入山を開始する。

12. 28 (Thu) ○○◎ 7:40丸山谷出合−12:00岳沢越−12:30岳沢−16:30F2横BP
 丸山谷二股から南沢沿いの林道を登っていく。かなり上部まで堰堤はつけられており、林道は二股手前までつけられている。北東に向きを変えた後、滝にぶつかる。ここで左側の大きなガレ場の支尾根に取り付き200m位進むと、しっかりとしたトラバースした登山道にぶつかる。これをたどり沢に降り立つと伐採小屋跡に着く。小さな小滝を登り、開けたところに右から沢が二つ出合う。右から二番目の沢を詰めていく。急登を登っていくと二段の氷瀑だ。これをダブルアックスで越えるとガレ場となり、右に登れば岳沢越だ。目の前には仙状岳が大きく覆い被さり、そこには一筋の白い帯が伸びていた。これが岳沢だ。ソーメン流しの滝もここから望まれる。
期待を胸に岳沢に下っていく。すごいブッシュだが、じきにしっかりとしたテープの付いた道に出会い、これを下れば岩魚の釣れそうな渋い感じの沢に出会う。これを下流にたどり400mで岳沢だ。

 気合いを入れて沢を詰めていく。徐々に沢は幅をせばめてくる頃、頭上には核心のソーメン流しの滝が大きく立ちはだかっていた。1時間近く登ればF1(15mIII)だ。氷結が甘くロープを出して越えていく。それを越えるとやや沢は左折し右側は岩壁が立ちはだかる。F2まで登るも、時間はもう15時だ。出発が遅れたのが悔やまれる。連瀑帯を抜けるのを断念、F2横のルンゼを左上し尾根上に出てここにBPとする。なんとか2人なら寝れる。この後、F2(10mII)を登った後、F3(50mIII)にフィックスを行う。正面はグスグスの氷で、一番右端より草付きとのコンタクトを左上、潅木にて懸垂下降、ずり落ちそうな場所で久しぶりのビバークを堪能する。

12. 29 (Fri) ◎◎○ 7:00BP−ソーメン流しの滝−16:30F9上BP
 暗いうちに出発、F2を越え、F3を昨日のロープを辿った後、F4の取り付きへ(20mII)、しっかり確保支点をとった後、左端より氷柱を越える(30mIV+)。頭上を被り気味の氷に押さえられた後、右に垂直の氷柱に出て行くところが渋い。氷結が甘く、shower climbingとなったため、消耗した。そこからすぐにF5(25mII)、ロープ無しにて。ここでスリップすればF2下まで落ちるので、絶対ミスは許されない。二股にはその根元に良いBPがある。F6(40mIII)に快調にロープをのばした後、F7(40mIII)結構氷が硬く、また墜落は許されないためいやらしい。そしてコンテにてF8(110mIV)へ。左上にて45mのばした後(III)、核心の滝の左下へ(20mII)、RHにしっかりビレイをとり、左端を直登(45mIV+)、ここも水が流れており非常に消耗する。気合いを入れてランナウトしながら一気に最上部の核心へ、レストした後、垂直の部分を登る。核心を終えた所で、アイゼンがはずれて肝を冷やすが何とか突破、非常にlocationが良いピッチだ。ラッセルしていくとF9(30mIII)、ここでタイムアップだ。ここには良いBPがあったため、ここでビバーク。全身びしょ濡れでロープからハーネスまで完全に凍ってしまった。大瀧もボロボロ、飯を食いまくり、明日の下山に不安を抱きながらとりあえず寝る。

12.30 (Sat) ◎◎○ 6:40BP−10:00仙状岳−北沢峠−丹渓山荘−16:00戸台
  全身濡れており寝れるはずもなく、夜の1時から食べたポップコーンの旨かったこと。今日もヘッドランプで出発、ラッセルにてF10(40mIII)F11(30mII)F12(20mII)、さらにF13(20mII)で奥の二股だ。ずっと一直線のルンゼとなっており、ここもミスは許されない。左のクラストしたルンゼをひたすら登り右のリッジに移りしばらくで大仙状岳だ。稜線を北にとれば仙状岳(3032.7m)だ。ここで大瀧のAZOLOのアウターが割れる。間一髪であった。久しぶりということもあるが、なかなか体力のいるしんどいルートであった。

 あいにくのガスであったが、北沢峠からのトレースに助けられて、一気に峠へ。森林限界を過ぎればもう安全地帯だ。年越し登山を目指す多くの登山客とすれ違いながら、感慨深げに戸台に下山した。  チェーンが切れる、アイゼンがはずれる、靴が割れる、といろいろトラブルはあったが、なかなか精いっぱい力の出せたルートであった。甲斐駒ヶ岳のルートとは異なり、ゲレンデ感覚では決して登れない、南アルプスの好アルパインルートであろう。



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